木曽駒の親子(純血種の保存-木曽馬の場合-)


木曽種の親子

昭和十四年(1939)の種馬統制法によって、生産地の木曽種牡馬はすべて去勢された。活兵器の駄馬として、馬格を上げるためである。敗戦後、戻し交配が行われてきたが、最近は特に近親交配の弊害が強くなっている。うまく”だまし”(異種交配)をくれる必要がある。道産子(北海道和種)の血を入れるなどの対応策がある。純血にこだわり過ぎて、種としての力が落ちてしまっては本末転倒である。
古老の記憶にある130センチ代の木曽駒を唯一の木曽馬標準とすることにも疑問が残る。世界の馬を見ても原種に近い馬(未改良馬)から様々なタイプの馬が作出されている。同系統の馬であっても、それぞれの使われ方によって、馬格、能力に幅がある。農耕馬、駄馬、馬車馬、乗馬など、用途別に種の特徴、優れた部分を生かしながら、慎重に他種の血を入れて固定しているのである。
野生馬を保護しているのではない。和種馬の農耕馬、駄馬としての役目は終わった。人はこれまでの木曽馬の仕事に敬意を表すべきである。しかし、これからは、山歩きや障害者用の乗馬、また、現在日本にはないPony競技会用の馬として、日本の伝統馬術の実践用の馬としても(流鏑馬に代表されるがほとんど競走馬上がりのサラブレッドが使われている)、木曽種の品種としての固定を考えるべきだと思う。
今、生きている老人の記憶にある木曽種が、唯一の木曽種純血であるという根拠はいったいどこにあるのだろうか。千年に及ぶといわれる木曽馬の歴史の中で、ある時代の木曽駒の形質に固執しているように感じるのだが(もちろん、ある時代の木曽駒の形質を残すすことにも意味がある)。


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