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紅葉台流和式馬術−研究馬1−

北海道和種(北海道産) 八重桜 -登録証有- 牡 平成3(1991)生 体高128cm 月毛
  
平成十(1998)年 12月2日牧場着

生(き)のままの和種馬はおとなしくも従順でもありません。
気高く熱い野性の魂は、われわれの熱い心とせめぎあいます。

八重桜は平成11(1999)5月事故で死亡しました。
(馬栓棒をくわえていて歯が引っ掛かり、パニックになってばたついいている内に、足元がすべって、首の骨が折れたようです。合掌)
馬は馬の中で仲間と育たないと馬と人の中間の意識を持った別の生き物になってしまうようです。乗れば乗るほど”しょぼく”なり、北海道に帰してやろう、という矢先でした。自殺のような最後でした。


H11(1999).1.19(40日目)

フラットワークが20分弱。紅葉台までの散歩が20分程度で計40分の運動。
休馬中、隣の角馬場に放してある馬や前を通り過ぎる馬を見ては悲鳴のような声をあげたり後肢で厩の壁を蹴ったりしていた。拘束されているという意識からくるストレスを発散させているのだろう。一頭だけで5歳まで気ままに生きてきた馬である。我慢するということをおぼえることも大切なのだが。
繋ぎ場まで連れていく間、何度も手に噛みつこうとする。愛情に飢えているのか。馬好きのじいさまにわがままいっぱいに育てられたのだから無理もなく彼の反応は理解できるが、ここではそんな風には扱えないのである。新しい生活に慣れるか、出されるかしかない。
馬場の中で一度肩から外に逃げようとした。こういう逃げ方は体力がついてくると現れる。始め「行の鞍」で乗っていたが、つらそうなので「草の鞍」にした。
外に出ている間はまったく落ち着きがなかった。これは初めてなのであたりまえの反応であるが、何か今まで扱った新馬とは感じが違うのだなあ。


H11(1999).1.16〜18(37〜39日目)-休馬-
H11(1999).1.15(36日目)

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4日間の休馬でお行儀は悪くなった(噛みつきたがる)。彼にとって噛みつくことは、コミュニケーション手段でじゃれている感じなのだ。いくら叱っても、”?”という感じなのである。
乗馬直後しばらく落ちつかなかったが、すぐおさまった。一気に調教してきたので、ある程度の休馬が必要な時期なのである。一時間ほど運動。速歩も15分ほど。少し重くなってきた。馬が一時的に重くなる時期に入ったのであろう。横腹がふっくらと丸みを帯びてきた。いい傾向。ボロのかたまりもみごとに大きくなった。精神的にも楽な感じになってきたのだろう。これから先食いこんで体ができてくると、もう一度大いに反抗する時期がやってくるのである。 他馬に対する具体的な攻撃はなくなったが、興奮し、扱いが面倒くさくなることは変わらず。後蹄も鉄をつけてもらえるようなので、山を歩かせて体を作っていくが、他の馬の後ろにつけるより、種馬なので先導させて、2馬身ほど離れてついてきてもらった方がいいように思う。雪が降り蹄への負担がないので、小鹿毛の後ろにつけて少し坂を上ってみたが、うるさくて仕方がない。
並歩は前肢を伸ばしてきれいに動いている。
足上げは反抗なし。馬房にも落ち着いて帰った。


H11(1999).1.11〜14(32〜35日目)-休馬-
H11(1999).1.10(31日目)

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1時間程の並歩運動。乗り手が行の鞍に慣れてきたので馬も動きやすそうである。終始いい感じに動いていた。
繋ぎ場で鼻にくさりをかけておく時は、きちんとはって効かせておくこと。悪さをするタイミング、環境があれば、いくらでも悪さをするのが新馬なのだ。中途半端な情けはかえって悪癖をつくってしまう。
他馬の近くで騒ぐ時は気配でわかるので、ビービー鳴き出す前に強く脚を入れて乗り手に意識を引き寄せること。
運動終了後、ゆっくり長い小便をした。ボロも出たが、小さい。腹も丸くなってこない。飼い食いがまたよくなく心配したが、運動量が少ないようだ。今日はしっかり乗った。牧場の外周も2、3周した。馬房にしまうとちょくちょくとよく食べていた。
前掻きで前蹄が磨り減ってしまっているので、菊地さんに鉄をつけてもらう。
新馬は乗るたびに感じが変わるので一喜一憂であるが、気長に気長に!


H11(1999).1.9(30日目)

今日は30分程度の並歩運動。前後5分はリラックスして歩かせる。ぼおっと歩かせないで、要所要所で脚を入れ、手綱で緊張させての運動。最後の方でやはり前肢のリズムがおかしくなったので終わる。本当は山坂を歩かせるといいのだが鉄をつけてないので、馬場でしっかり歩かせる。麦を食わせると少しくらい肩の調子が悪くても動くものだが、無理をせずにやっていく。


H11(1999).1.8(29日目)

10分程軽く騎乗。2日あいても乗り下りは問題なし。鞍を前に着けている分、肩に負担がきているようで速歩の時、前がつぶれたので常歩にした。繋ぎ場ではヒトが目の前に立っていると噛もうとするが、それ以外は世話をしていても落ち着いている。足上げもOK。まだ体が出来ていないので無理せずゆっくりやっていこう。以前は乾草をほとんど寝藁にしていたが、だいぶ食べるようになっている。厩にもどる時は早く帰りたいのかヒトより先に行こうとする。厩でも繋ぎ場でも落ち着きが見られ前掻きも少なくなっている。


H11(1999).1.6,7(27,8日目)-休馬-
H11(1999).1.5(26日目)

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右目は、白い部分が充血しているが大したことはなかったようだ。
朝飼は楽しみに待っていて残さず食べるようになった。キューブは前歯で細かく砕いてふすまと鼻先でまぜ、おいしくして食べている。良い考えと感心した。量は通常の半分弱。
乗り運動は速歩にするとリズムが変(左肩がきつそう)なので、インターバルをおいて前後20分強しっかり歩かせた。びっこというよりまだ体が出来ていないので前肢がべたべたした感じで出、後肢はついていくだけのような動きなのだ。たまに調子がいいと私がうれしくてやりすぎてしまうこともある。気長に常歩中心で行こう。
他馬への反応が単なる興奮から強い興味に変わってきている。手綱を許すと繋ぎ場の馬には行かないのだが、馬房とか角馬場に近づいていく。しかし、乗り手にわかるほど、心臓をどきどきさせふるえている。子馬に鼻を嗅がれてさえヒューンとか鳴いているのだ。
手入れは、特に問題なし。足上げは体を自然に寄せて足をしっかりホールドしてやること、お互いの体に間隔があると不安そうで落ち着きがない。
乗馬前のブラッシングでは首にさわられるのを嫌う。
繋ぎ場では他の馬が運動しているのをじっと見ている。特定の馬以外はやたらと騒がなくなった。


H11(1999).1.4(25日目)

餌は少なめのままだが、ちょくちょくと食べている。
本日は常歩運動のみ。落ち着いていた。繋ぎ場では鼻に鎖をかけておく。洗轡は使わず。胸がいに注意。緩むと鞍が後ろにずれる。手綱を許して自由に歩かせると他馬の馬房に近づいていく。恐いのだが興味はあるんだろう。


H11(1999).1.3(24日目)

はじめての休馬。飼桶はきれいに空になっていた(15:00)。無口、洗轡、繋ぎ場への誘導、馬装は特に問題なし。動きはじめに軽く尻っぱねされる。他馬が駈歩運動をしていたために興奮したのだ。即、顔鞭。目に入った。下馬後、素直に引き運動に従ったが、繋ぎ場で手入れをする頃から反抗。一人では面倒くさそうなくらいの状況であった。仲間に轡を押さえてもらい裏掘りをする。後肢で攻撃的な様子を見せたので、腹を蹴り上げた。他馬と鳴き交わしどんどん興奮していった。ニンジンの食い方は肉食獣のようであった。馬房にしまってから一回鉄棒に体当たりしていたが、前回強く反抗した12月20日よりは格段に落ち着いている。乾草を投げてやるとちょくちょくと食べていた。
休馬明けのせいではなく、目に鞭が入って怒りの悲鳴を上げている内に他馬がいななき返し、興奮していったような感じ。後味が悪い。
今日は軽い速歩運動。肩が疲れいるようでつまづき気味だったので常歩を多めにした。30分程度。初めて和轡を使う。違和感はないようだ。半年くらいはこんな調子なので、気長に常歩運動を多くしていく。


H11(1999).1.1-2(22-23日目) 休馬
H10(1998).12.31(21日目)

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首の付け根(き甲の上)に鞍を着けてから乗馬直後の反抗がない。やはり前の造りがしっかりした馬はこのバランスで乗るのが正しいのだろう。手入れの時、前肢を上げているのが大変そうなのは自重を支える割合が前よりに普通より多くかかっているからだろう(馬は爪先体重である。だから一般に前肢の蹄の方が大きい)。
楽な感じで並歩10分、馬なりに速歩10分、首をのばして並歩を少しさせてから、勝手に歩かせた。あまり広い範囲ではないが、あちこち点検していた。
少し詰めて速歩10分、苦しくて駈歩に入りそうになるくらい乗ると肩に負担がかかり過ぎている感じになった。首をのばして並歩をして下馬。一緒に充分歩いてやる。遊びたいのだが、頬革を持つとおとなしく従う。
手入れ後はすぐに馬房に帰した。隣のせん馬にちょっかいを出し、それこそ大騒ぎしていた。手入れをしながら必ずにんじんをあげてご機嫌をとること。なんだかんだと話しかけてやる。まだまだストレスが大きいからご機嫌をとってあげることも大切だ。他馬が近づいてもやたらに興奮しなくなった。時々雄々しくいなないているのは許しておこうと思う。種馬らしくていい。
朝飼は残さず食べていた。もりもり食べることが名馬の第一条件である。しっかり食べてほしい。腰の下の辺りが少しふっくらしてきた気がする。
今日は体全体を使って動いていた。リズムのいい速歩もあった。
頭はいい。乗り手の次の扶助を感じる勘がいい。勘がいいというのは、とても大切な資質なのでうれしい。写真を撮ろうとひとに手綱を渡してカメラを取りに行こうとしたら、私を読んで低くいなないた。


H10(1998).12.30(20日目)

他の馬が外で運動しているのを見ると自分も外に出たくて、馬房の中で自分の肘、後膝に噛み付き尻っぱねをする。その姿は、絵巻物の厩(うまや)で尻っぱねするかつての和種馬を彷彿とさせる。本日は並歩運動のみの日である。手綱を許して自由に歩かせるが、あまり動きまわらない。枯れ草を少し食べてみたりする。甘噛みは力加減が割に出来るようになってきた。手入れでは、前足の裏掘りが終わると後肢を自分で上げるようになった。息抜きのこうした運動日の大切さを実感する。繋ぎ場でもバカバカしいほどの騒ぎはしなくなったが、外乗にみんなが出ていく時は大騒ぎしている。目の前を馬が通っても反応する馬とあまり気にしない馬がいる。ヘイキューブより乾草を好むことは変わらず。朝飼いを少し与え始めてから、昼頃見るといつも少し残っている。


H10(1998).12.29(19日目)

割におとなしく無口、洗轡をつけさせる。私に対しては、一応一目置いて自分の運動人として認識したようである。
鞍は必ず首の付け根に着けること。そして行の鞍。乗り手の感覚としては極端なくらい前に乗ること。鞍下は小さめな毛布を。大きすぎると後ろに鞍がずれてくる。胸がいはきちんと効かせること。
はじめ並歩。10分速歩。首を伸ばして並歩。10分くらい少し強めに押して速歩運動。一日休んで疲れが出て重いくらいであった。
馬場の中で他の馬が様々な運動をしている中で、久しぶりに目のまわりに精神的な汗をかいた。他馬に攻撃的な反応をすると叱られることを意識して懸命に我慢している。あまりに辛いとヒューンという泣き声を出す。
尻っぱねしたら尻鞭、もう一度したら横面を張ること。絶対に駄目なことは駄目なのだという断固たる懲戒の段階である。
手入れは回を重ねるごとに扱いやすくなっている。これからは、気長に半年くらい先のことを考えてやっていくこと。べたべたした速歩から前が浮かび上がってくるような速歩になるまで辛抱強く運動させていくこと。
朝飼は、夕飼の残量を見ながら与え続ける。乾草の方を好み、キューブは少しづつ残している。腹の調子はまだまだで(精神的なものか)、軽いものの方が合うのだろう。
繋ぎ場での小便もだいぶ落ち着いて長くするようになった。今まではほんの少ししてすぐ止まるパターンであった。しかしまだ途中で突然止まりそうになったりするのである。
一日おきの運動に切り換える。中一日は乗ってもぶらぶら道草の日。


H10(1998).12.28(18日目) 休 馬
H10(1998).12.27(17日目)

朝、夕飼のふすまは残っていた。ヘイキューブ10個くらい与える。餌を食べられるようにはなってきたが、胃が本調子でないのか(環境の変化で)、北海道で乾草を主に食べていたのか、乾草の方が食べやすいようだ。
後躯がしっかりしてくれば、合戦絵巻から出てきたような形の馬である。昔の絵を見ると、き甲の真上(首の付け根)に鞍を着けているが、このように前ががっしりして肩の傾斜のある馬は前掛かりで乗るとバランスがよく人馬ともに楽である。
20分程速歩運動、20分程並歩運動。昨日あたりから、目のまわりにかくストレス性の汗が出なくなった。運動に慣れてきたのと、自分のバランスで乗ってもらえるようになったからか。運動後もまだ余力があるように見えた。
手入れは、私を認めはじめたのと、馬自身が我慢できるようになってきて扱いやすかったが、半日繋ぎ場においたら、馬が通る度に、尻っぱね、いななき、前掻きし放題で、夕方しまう時には、すっかり行儀の悪い馬に戻ってばたばたしていた。近くに来る馬が、牡馬であろうが牝馬であろうが、ペニスを伸ばしているのは元気いっぱいの種馬である。まだまだストレスも溜まるだろうから、繋ぎ場で騒ぐのくらいは大目にみないといけないのかもしれない。


H10(1998).12.26(16日目)

朝飼をやる。ヘイキューブ10個くらいとふすま少々。腹が空きすぎていらいらしている気がするので。
繋ぎ場も閉塞感のないところにした。狭いところに繋ぐと新馬には拘束されているという意識が強くなりすぎて騒ぐこともあるのである。玉つき(種馬)なのでちゃかちゃかするのは仕方ないが、今日は妙に落ち着いていた。腹具合なのか、繋ぎ場の相性なのか、たまたまなのかはよくわからない。
和鞍を使用。かなり前につけたつもりであったが、まだ後ろ気味ということで着け直した。わけもわからず逃げるように速歩をしていた時期は過ぎ、ある程度追わないと消えるように並歩の戻ってしまう。少し疲れが出ているのかもしれない。並歩運動を増やす。
他馬への反応や私にじゃれるときも、”しかられるかな”と意識しているのがわかる。乗馬中も耳が後ろによく向き、乗り手の意思に従おうとしているようである。運動中は尻尾を上げ、振り、意識が昂揚している様に感じられる。
速歩運動でぶれるのは体が出来ていないのでこんなものだ。とにかく鞍を前に着け前に乗ること。首を自分の膝で挟むような意識で。
飼桶を新調する。今のものだとせっかくの豊かな鬣(たてがみ)が擦り切れてしまう。
夕飼は、まず乾草を食べてから、桶にかかる。普通に食べられるようになってきたように思う。


H10(1998).12.25(調教15日目)

厩(うまや)の中で自分に噛みついていたという。かなりストレスが溜まっているようである。
が、無口を持って近づくと、顔を突き出してくる。顔を引いた時は知らんぷりしていると我慢できなくて、また突き出してくる。外に出て人と一緒に運動をするのは嫌いではない。
繋ぎ場では非常に落ち着きがない。後ろ蹴りには決然とした態度で!
2名で30分程速歩運動。鞍が少し後ろ気味で最初反抗。首の付け根にピッタリ鞍をつけ直し、胸がいで固定する。自分のバランスを主張できるほどになった。
運動後の手入れは相変わらず大騒ぎ。
ストレスが溜まっているようなので、運動後長めに一緒に歩いてやり、にんじんもしっかりあげて機嫌をとりまくること。毎日の運動で、睾丸の毛が抜けてすっきりしてきた。始めは玉から長い毛がぼーぼー生えていたが、内股ですれてすっきりした。蹄も少し大きくなってきた感じである。あまり運動しない馬の蹄は小さく小さくなっていくものなのである。


H10(1998).12.24(調教14日目)

飼食いは良し。自然に乾草も食べている。
2名で30分程度の運動。今日は騎乗後、比較的素直に前に動き出した。真っ直ぐに速歩するのはまだまだ下手で、左右にぶれて安定しなかったが、手綱で少し頭の位置を押さえる様にし、脚を左右等しく使ってやると、わりに上手く真っ直ぐする。後退は半歩だけ行ったが、かなり抵抗を感じているようであった(初期調教では真っ直ぐ前に運動させることが肝要で、後退はさせない方が良いと思う)。
回転させようと片側に重心を移した時に腹帯がゆるんでいて鞍ごとずり落ちてしまったが、その馬で停止してポカンとしていた。


H10(1998).12.23(調教13日目)

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昼過ぎから乗馬。前日の夕飼が少し残っていた。
和鞍で20分ほど速歩運動。乗馬直後、少し後退するくらいの反抗。行の鞍。特に問題なし。前進気勢は最初の10分は旺盛、それ以降はある程度追う必要がある。子馬のいる角馬場の前で、枯れ草を少し食う。鞍を下ろして裸馬でも乗ってみた。
運動後、馬房の中で手入れをしようとして、馬房の隅に追い詰められ後ろ蹴りで攻撃される。悲鳴のようにいななきながら蹴ってきた。しかし、本気でない。本気だったら殺されていた。太股が少し内出血を起こしたくらいあたった。。運動中の従順さに油断した。少し今まで厳しすぎた気がしていたので、つい甘い顔をしてしまったのだ。馬に隙を見せることは禁物である。
従順なのは拘束されているという意識から、軽く動くのは、恐怖から逃げているだけで、まだまだ人の指示に従っているわけではないのである。


H10(1998).12.22(調教12日目)

3名で20分弱の運動。和鞍で速歩中心。鞍はき甲のほとんど上にくる位前につけた。これにより、後肢が沈む感じがなくなったので、この馬のバランスとしては、これが正しいようである。乗馬する時、膠着するような反抗があるが、一度動き出すと非常に従順で、問題はない。


H10(1998).12.21(調教11日目)

2名で30分程度の運動。あまり追い込まず、なるべく安定した速歩を行うようにする。鞍は和鞍を使用した。騎座は行の鞍にする。前肢が楽になり動きが軽い。1、2歩後退も行う。体が小さいので重心の移動に対する反応は非常に良い。停止の際に鐙を前に踏み出し後輪(しずわ)に体重を乗せるようにすると、自然と後肢が踏み込んで止まった。


H10(1998).12.20(調教10日目)

障害者の方々の練習日で馬がずっと馬場に出ていたので、馬嫌いの彼は空き腹抱えて馬房で一日騒いでいたようである。自分も広い所に出たい気持もあるのだろう。引き馬、乗馬下馬は問題ない。おとなしくしている。脚の刺激で前進することは理解している。軽い刺激で前に出るのは恐いから逃げているのだ。短節の反動の低い速歩はペース(側対歩)のようだ。三人の女性に乗リ代ったがおとなしかった。
繋ぎ場につながれた状態は我慢できない。前掻きし、鳴き、仕切りの鉄棒を蹴り上げている。
後肢の踏み込みがいい。30分ほどで前肢の踏み出しが甘くなり後突し始めたので運動終了。充分並歩。引き馬。
夕飼の時間と手入れが重なって、とにかく腹ぺこなのと、環境に慣れない中で拘束され運動させられているストレスからか、抑えるのに大苦労した。馬房にしまい、飼い桶の脇に立っていると激しい威嚇行動をとる。
北海道の自由で気ままな生活がなつかしく、今の調教とのギャップに混乱している。なぜ、しかられるのか、なぜ優しい声をかけられ、なでられるのか、判断する余裕もない。
しばらく一食を続ける。腹が減っても足許の乾草を食うということもできない状態である。


H10(1998).12.19(調教9日目)

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乗る前は甘噛みしたくて仕方がない。馬銜が口に入ると気になって仕方がない。セン馬(去勢馬)の隣に繋いだが、境の鉄棒を蹴り上げ一騒動起こした。長靴で蹴り上げ、鉄櫛で2,3発殴る。叱られるので我慢しているがバタバタしている。人が近くにいるといいのだが、馬だけになるとこのような行動に出る。2才から一頭で、人とだけつきあい可愛がられてきたのだから仕方がないが、これで性格が悪かったら恐ろしい種馬になっていたことだろう。
始めポニー鞍で乗り運動。人を乗せることは何でもない。補助者の必要もない。またがった直後は少し興奮して走るが、すぐ納まる。まだ恐いだけの前進気勢である。口はやわらかい。
他馬と接近するとバタツクことは変わらず。どんどん馴らしていく必要がある。
落ち着いて動くようになってから和鞍に着け替える。人馬ともに動きやすいが、他馬とすれ違う際に騒いだので鞭をつかったら、尻っぱねされ、鞍が回って落馬。私が右鐙を強く踏んでいるのが原因である。これは乗り手の問題。馬は落馬後もその場に止まり、上から困った顔をして見つめていた。根っから人には親しいのである。スタッフに乗り替わったが素直であった。
引き運動をすると人の尻に鼻を突っ込んで速歩で押して遊ぶ。
乗り手への意識、他馬が接近した時に我慢する意識が芽生え、緊張で目の周りに大汗をかいた。足上げも継続して馴らしていく。
りんごが好物である。一気に調教しているので下馬したらおいしい物で機嫌をとりまくることもまた大切なのである。
隣の馬房のセン馬に一生懸命ちょっかいを出すが、相手はまったく無視している。種馬の隣には経験抱負なセン馬を配するのが良い。


H10(1998).12.18(調教8日目)

朝までに夕飼は空になっていた。だいぶ食べられるようになってきているようである。
9時〜16時くらいまで洗い馬銜をつけたまま繋いでおいだが、落ち着きがなく、前掻きや後ろ足で蹴り上げたりしている。
昼過ぎ20分程騎乗。乗り始めは前に出ようとしないが動き始めると素直である。速歩を15分くらいすると肩に負担がきだしたので5分ほど並歩。足上げはとりあえず上げているという状態。
夕飼の時、今までは隣のセン馬(去勢馬)ばかり気にしていたが、だいぶ餌の方に気持ちが向かい出している。


H10(1998).12.17(調教7日目)

乗り始めだけ、鞭、きつい脚を使わないと動き出さないが、動き始めればとても素直で脚の反応も最初の頃に比べればだいぶ良くなってきている。乗り降りは問題なくおとなしい。停止も軽く引いただけですぐ止まる。じっとしてもいられる。繋いでいる時よりも乗っている時の方がおとなしい。2名で20分くらい速歩中心に運動した。


H10(1998).12.16(調教6日目)

昨夜の夕飼は空になっていた。
馬場の中で20分程度、速歩中心に運動。
少し肩にきている。


H10(1998).12.15(調教5日目)

馬場の中で速歩運動を行った後、散歩コースを回った。


H10(1998).12.14(調教4日目)

通常どおり馬を出し、馬装、乗馬。
鞭でたたきながら前進させる。3日間の追い込みで体力が失くなっているので力のある動きがない。スタッフ3名が交替で乗るが大きな反抗はない。
食い込みが足りないために、馬が消耗している。10分くらいで疲れた状態になる。
飼料の与え方を1日1回、夕飼だけにする。食べる時間にしっかりと食べるというパターンをつくりあげておかないと、本格的に乗り込み始めた時に、馬がもたなくなってしまうために必要である。
食い込んでこないとこれから先に進めない。


H10(1998).12.13(調教3日目)

Photos of Today

引き馬2、3周。すぐに乗り運動に入る。
乗馬後、膠着していたので、強烈な尻鞭で前進させる。尻っぱねをして反抗するが、やめるまで鞭。
他馬に対して攻撃的な姿勢を見せた時は、顔鞭。
落ち着いたところで4時間ほど並歩運動。最後の1時間は、意識が乗り手の方に来た(耳が後ろを向いていた)。最初は、背中に乗られた恐ろしさに反応しているだけなのである。
脚にも反応する気配になってきた。
5才であるが、頭は3才程度で、引き馬をしている時のじゃれ方は幼稚である。
肩に負担がくる寸前まで、しっかり並歩運動をしたので、飼食いはよかった。
環境に慣れるまで落ち着きが無いのは仕方がないのだ。足上げは、少し強く出れば我慢できる。
和種は原種に近い未改良馬であるため、なだめすかすようなことでは駄目で、どっちがボスか、はっきりさせることが大切である。


H10(1998).12.12(調教2日目)

調馬索を行い、充分に汗を出したところで乗馬。
鞭でたたきながら、前進させる。まだまだ前進気勢はない。
他馬に対して攻撃的な姿勢を見せる。人が乗っていても後ろ蹴りに行く。とんでもないことだ。


Photos of First Riding

H10(1998).12.11(初騎乗)

無口の上に洗い馬銜(バミ)を付けて、馬銜と無口を同時に調馬索で結び、馬を動かす。
30分程度調馬索をしてから鞍(ウエスタン)を着けて、ゆっくり騎乗した。
左右に人がついて引き馬を10分程度行い、その後、鞭でたたきながら前へ出す。
その状態で1時間くらい乗り、汗を充分にかいたところで下馬して引き馬。それでやめる。


Photos at Asahikawa in Hokkaido

H10(1998).12.2(到着)


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